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国内盤未開封新品でございます。
御存知!Abbey Road Masteringで御馴染みPeter Mewによるリマスターでございます。
Peter Mew特有の音の輪郭をくっきりさせ低音を利かせた感のある音質で(制作当時に生じたノイズ処理等があり)リミックス感があり、
幾分現代的な感の強い音質となっております。
内容は言わずもがな。
ラインナップは名手揃い。
Paul Rodgers(Vo、G(二曲)、Rhythm G(四曲)、P)、故Paul Kossoff(G(六曲))、John ”Rabbit” Bundrick(Key、Vo、後にThe Whoサポート)、
山内テツ(B、Per)、Simon Kirke(Ds、Per、Rhythm G(一曲))となります。
ゲストにRebop Kwaku Baah(Per、後にTraffic)、W.G.”Snuffy” Walden(Rhythm G(三曲)、ex-Stray Dog)が参加となります。
(故Paul Kossoffは制作時はバンドに在籍、完成後に解雇の模様)
プロデュースはバンド自身とエンジニアを兼ねるかの故Andy Johnsとなります。
(Led Zeppelin、Humble Pie、Delany & Bonnie、West,Bruce & Laing等に制作で関わり、八十年代はHR/HM系プロデューサーとして名を馳せる)
1972年10月~11月英国・ロンドン”Island Studio”での制作となります。
プロのミュージシャンを目指してロンドンに現れ、様々なバンドで活動していたPaul Rodgersと
Blue/Rock系のバンド”Black Cat Bones”に在籍していた故Paul Kossoffの邂逅から始まるバンドでございます。
互いの演奏や音楽性で非常に共鳴した事から自身のバンドを結成を目論み、それぞれのバンドを離脱。
”Black Cat Bones”での同僚だったSimon Kirkeを更にスカウト。
そして”John Mayall & the Blues Breakers”に在籍しているものの(金銭に絡む)バンド運営の有り方と音楽性に非常な不満を抱えていた
故Andy Fraserが解雇となり、故Alexis Cornerの仲介でバンドに加入しラインナップが確定。
Paul Rodgersが用意したオリジナル楽曲を基にBlue系カバー楽曲を加え独自のアレンジを施し、早速ツアーに勤しむ事になります。
当時はロック音楽の変革期真っ只中。
Blue/Rockの新展開と言う音楽性の新鮮さや全員十代という年齢もあり早速注目を浴び、”Island Record”が白羽の矢を立て契約。
活動の合間にデビュー作制作に打ち込む.................という経緯がございます。
(そもそも10月には録音が終わっていた模様でございますが、
カバー楽曲”The Hunter”の反響の強さに注目したレコード会社がバンドにその録音を促し12月に録音。
リリースのタイミングが遅れる経緯もございます)
されど1stは注目を浴びるもののセールス不振。
その反省に立ち、またRodgers/Fraserのソングライター・コンビの確立もあり音楽性を纏めた感のある2nd”Free”を制作。
アメリカでは前作同様の不振となったものの英国では成功を収め、
その音楽性を土台に後にQueen等を手掛けるRoy Thomas Bakerを共同プロデュースに迎え大傑作「Fire and Water」を制作。
シングルリリースされた”All Right Now”の大ヒットもあり、今度はアメリカでも大ヒットを記録しバンドは順風満帆。
されど制作された次作”Highway”がセールス不振。
度重なる制作/ツアーと執拗な酷評にバンドは疲弊、
Rodgers/Fraserの確執そしてPaul Kossoffの麻薬問題から来る健康問題があり解散を決意。
シングル”My Brother Jake”リリース後レコード会社は渇望されていたライヴ盤制作をバンド側に提案し了承。
制作後、それぞれの活動に去る事となります。
またSimon KirkeとPaul Kossoffは米国Key奏者John ”Rabbit” Bandrick、来日時に関わった山内テツをスカウト、
新バンド”Kossoff/Kirke/Tetsu/Rabbit”を結成。
アルバム制作に勤しみます。
英国では待望のライヴ盤という事もあり大ヒットを記録。
それぞれの活動がままならず、また看板ギタリスト故Paul Kossoffの麻薬問題から来る健康問題がバンド解散の痛手もあり更に深刻化。
Paul Kossoff救済も兼ね、再結成の話し合いが持たれる事となります。
再結成に同意し新作”Free at Last”を制作・リリース。
英国での反響は非常に良いものの、アメリカでは今一つ。
Rodger/Fraserの確執は残念ながら解消されておらず、Andy Fraserはツアー中にあっけなく離脱。
山内テツそして(Paul Kossoffも麻薬問題からくる健康問題からサポートとして)同じ”Kossoff/Kirke/Tetsu/Rabbit”での同僚
John ”Rabbit”Bundrickをスカウトしツアーを継続するものの、健康問題が悪化したPaul Kossoffがツアーを離脱。
Rodgers/Kirke/Tetsu/Rabbit編成にて再来日公演を含むツアーを継続。
1972年7月英国ツアー中にPaul Kossoffが復帰し、”Rodgers/Kossoff/Kirke/Tetsu/Rabbit”の新体制を固め、
今作の制作に入る....................................という面倒な経緯がございます。
”Free”はBlue/Rockの新展開であり、当時のロック音楽の多様性の重要な一つという感のある音楽性でございます。
当時かのJeff Beckが提唱した(かのJimmy Pageが盗用し”Led Zeppelin”の音楽的アイデアの基となった)
「BluesとRock音楽を融合し、衝撃を加えた音楽性」に繋がる感がございます。
されど、Paul Rodgersが持つ英国トラッド系の(ポピュラー系絡む)メロディ感覚が上手く練り込まれており、そこが一線を画す感がございます。
作品制作を経て洗練度が増しポピュラー化が成されていきますが、
そもそも”Blues/Rock”由来のバンドの音楽性から来るポピュラー化に対する反動やライヴ盤の大好評、
それらを上手く生かした作風となっております。
メロディ重視が成され、また当時の英国HR/HM系の台頭を(音造りを含め)意識した感、そして米国での活動や成果を取り込んだ感のある作風でございます。
洗練度が非常に増しており更にはBlues/Rockからの脱却をも図っていた感がございますが、Andy Fraserがいない事がミソ。
故Paul Kossoffがギターヒーロー感を持つ存在として制作に臨んでいる感がございます。
但し、(ミュージシャン参加クレジットから伺えますが)音楽性主導の中心がPaul Rodgersのみとなりその観点から見た音楽性という感があり、
後の”Bad Company”に繋がる音楽性でございます。
Paul Rodgersのヴォーカルは非常に伸びやかで豪快。
されど繊細さも加わったもので非常に表現力豊か。キャリアを増した事からも洗練度が強くなり粗さが随分と消えており、
後の”Bad Company”に繋がるもの。
Paul Rodgers曰く「(Jeff Beck Group時代の)Rod Stewartに憧れていた」という後の回想が理解出来るものの、
ここで”Paul Rodgers”という一つの完成が見られた感がございます。
また某名ヴォーカリスト曰く「Bad Company時代よりもFree時代が好き」という発言も頷けるものでございます。
故Paul Kossoffでございますが...............................
「非常に細い弦を張ったギターをベース・アンプで鳴らす」という特殊さがございますが、表現力は恐るべきもの。
今作録音時は22歳程の年齢でございますから、驚異的。
フレーズのセンスも抜群で、後の早い逝去が惜しまれるものでございます。
演奏スタイルが確立しており陰鬱とした感覚が聴かれますが、1st時の生き生きと非常に弾けた感覚が失われている事がミソ。
また健康問題が深刻化しており(表現力は変わらぬものの)それが演奏面に感じられる感があり、不安定感がございます。
Paul Kossoff自身の最盛期末期という事もあり非常に貴重な録音の感がございます。
創作面の中心で故Paul Kossoffに対して随分な演奏制約を課した故Andy Fraserが不在という事があり、
(演奏の不安定感があるものの)生き生きした感がございます。
(全面参加ではございませんが)今作ではPaul Rodgersに対する”対”のギターヒーロー的な個性が再び現れており、
非常に興味深いものがございます。
後々に制作に関わった故Andy JohnsがPaul Kossoffの死に対し、非常に忸怩たる思いをしていた事が理解出来、
また麻薬問題に絡んだ死でもあり、その問題が無ければ..............と悔やまれる才能でもございます。
リズム隊は以前に比べ纏まりを見せ繊細さも加わっており、非常に洗練されてきているもののライヴ盤の大好評が考慮された感があり、
豪快で荒っぽく躍動感溢れるものが聴かれます。
山内テツの演奏は非常に巧みで安定しており、フレーズは非常に練られたもので興味深いもの。
バンド・アンサンブルの纏まりの中心的役割を果たしている感がございます。
作曲に絡んでいるもののPaul Rodgers/Paul KossoffやRabbitを立てる感があり、
(様々な音楽性の制作に携わり、バンド・デビュー前に既にキャリア組であった)Led ZeppelinのJohn Paul Jonesの様な客観性を感じさせるもの。
Paul Rodgers曰く「我々は常に感情的になっていたが、テツは冷静だった」との発言が頷けるものとなっております。
さて、John ”Rabbit”Bundrickでございますが..................................
後々にもサポート的役割で活躍致しますが、それが非常に理解出来るものとなっております。
邪魔にならず、かと言えど地味過ぎず。印象深くあれど過剰過ぎず。
弁えと存在感と楽曲貢献と.......似た役割にかの故Paul Raymond(Plastic Penny、Savoy Brown、U.F.O.、MSG、Waysted他)がおられましたが、
英国系バイプレーヤーの興味深さが理解出来るものとなっております。
そもそもバンド自身のプロデュースで制作が始まったものの、”Island Records”社長Chris Blackwellは音質に難色を示し、
バンドに故Andy Johnsを再び制作に起用させますが、これが好判断。
かの”Free Live !”の躍動感・スケール感をスタジオ録音で狙った音造りを完成させる事に成功した感がございます。
故Paul Kossoffの健康問題も絡み、制作は困難を極めた模様。
演奏の不安定さを嫌がったPaul Rodgersは制作後期にW.G.”Snuffy”Waldenを起用し、ツインギター体制を目論みます。
故Paul Kossoffは相当憤慨した模様でございますが、制作は継続し完成となります。
リリースすれば、英国では大ヒット。米国でもまずまずの成功を収めますが、Paul Rodgersは故Paul Kossoffを解雇。
(おまけに今作では”Additional Musician”扱いの記載)
失意の故Paul Kossoffは初のソロ作制作に向けて動き出しますが、麻薬問題から来る健康問題が深刻化していく事となります..........................
バンド側はRodgers/Kirke/Tetsu/RabbitにWendell Richardson(Osibisa)を加えた編成でツアーに出るものの、
(バンドの存在意義たる)個性派看板ギタリストを失ったバンドに求心力は急激に薄れていき、三月の全米ツアー中に自然消滅。
1973年”Island Records”社長Chris Blackwellによって解散宣言が成される事となります.......................................................
「皆若過ぎた。(故Peter Grantの様な敏腕マネージャーがいなかった事もあるが)Led Zeppelinみたいにはなれなかった」
との某メンバーの回想がございました。
(Rodgers/Fraserのコントロール・フリーク化がなく)上手くいっていれば、そしてバンドの結束を固め我慢強くあったなら、
そして故Paul Kossoffの健康問題が無ければ......................................との感がございます.................
後の第二回”Woodstock”にPaul Rodgersが自身のプロジェクト”Paul Rodgers Rock & Blues Revue”として参加。
ベース奏者は何と故Andy Fraser!
(DsはかのJason Bonham、GはNeal Schon(現Journey、ex-Santana、Schon/Hammer、Bad English、Hardline他)、
Slash(Guns'n'roses、Velvet Revolver他))
その後、故Andy FraserがPaul Rodgersに”Free再結成”を提案した事がございましたが、
Paul Rodgersは「Paul Kossoffがいないから無理」と拒否。
そもそもPaul Rodgersと故Paul Kossoffとの邂逅から始まったのがこの”Free”でございますが、
(作曲にクレジットされる事が少なかったものの)Paul Kossoffの音楽個性がバンドの重要な存在意義では無かったか?
そういう感がございます............................
Led Zeppelinのギタリストでプロデュースを兼ねていたJimmy Page、
そして「自分まで個性を強く打ち出してしまえばバンドの音楽性が崩壊するから、一線を退いて他の個性を繋げていった」という
アレンジャーJohn Paul Jonesの存在。
それぞれが豊富なセッション経歴を誇るミュージシャンでございますが、ここがバンドの明暗を分けた感がございます。
そして名マネージャー故Peter Grantの存在も.......................
ボーナス曲は米国リリース用別ヴァージョンにシングルのみ収録、リハーサル音源と興味深いもの。
全盛期Freeのみならず、故Paul Kossoff自体の録音音源は非常に限られたもの。また現代のスタジオ技術が生かされている音質。
何をか言わんや、でございます...............................................................
Free解散後、(Ian Gillan/Roger Glover解雇を見越して)当時Deep PurpleのRitchie BlackmoreがPaul Rodgersに注目。
新加入のGlenn Hughes(Vo、B ex-Trapeze)とのツインヴォーカル構想を目論みアプローチするものの、
Paul Rodgersは”Bad Company”結成に動いており拒否。
その後オーディション選考でPaul Rodgers系の名ヴォーカリストDavid Coverdaleを獲得。
またそのDavid Coverdaleと共に今作の”Heartbreaker”をモチーフに名曲”Mistreated”を作曲という後の経緯がございます.........................
現在ではこの仕様は入手が困難。この機会に是非。