昭和５９年（1984）に、筑摩書房から出版された
市川森一の『ダウンタウン物語』前・後篇の二冊揃
いセットである。本作品は、昭和５６年（1981）の
上半期に、日本テレビ系列の「火曜劇場」（毎週火
曜日の夜）に放映されていた。

【おもなキャスト＆ゲスト】
桃井かおり、川谷拓三、岡田茉莉子、西田敏行、市
原悦子、夏目雅子、田村亮、にしきのあきら、佐藤
浩市、篠田三郎、南風洋子、中原早苗、水島道太郎。

【 物 語 】
 ミナト横浜の下町が舞台。スナック「シードラゴン」
の命運と、清貧な牧師が貧しい者への慈悲がから
み合い物語は進展する。主人公の風見呼子（桃井
かおり）は、同スナックの歌手兼ホステス。この店
は元々呼子の母・蘭子（岡田茉莉子）のものだった。
だが、彼女は傷害事件を起こし服役中となり、スナ
ックは野心家の石上月世（西田敏行）のものとなっ
た・・・。
 発端はクリスマス・イブの日、たまたま流産で苦
しむ呼子を貧しい協会の牧師・塩谷伊作（川谷拓三）
が助けたことがキッカケとなる。伊作は、人の出会
いは偶然ではなく、神の御心を感じ、呼子と蘭子親
子を慈悲心ではぐくみ応援する・・・。
  しかし、それをおもしろくない月世は、次は教会を
もわがものにしようと企む。月世は策略を考え、した
たかな行動にでる。さらに、多種の男女の恋愛感情
もからみ、紆余曲折の複雑な展開が始まる。その結
末やいかに・・。

【本書の希少価値について】
 今から４０年も前のもので、そこそこの読書人で
も、小説は読むがシナリオを読む習慣が、残念なが
らなかった。その上に発行部数が少ないことと、シ
ナリオの会話主流の組版はコストも高く、値段も割
高であった。そして、書店に半年置かれて売れなか
ったものは出版社へ返本された。注文が少ない本
は倉庫代がかさむのですべて断裁された。

 だがよい本は、読者の口コミで広がるもので、そ
の本が評判となった時には店頭にない。文庫化も
されてないために入手困難な‘幻の本’と相成った。
  そのために、今やネットの「日本の古本屋」では、
１９８００円と３６０８１円の値で２点のみ出品。アマ
ゾンのユーズド商品でも、前編一冊だけでも、なんと
１５２０９円～２６８００円の３点で出品されている。

 私は『古書通信』に掲載ささていた、コレクター
向けものを、２０年以上前に高額で買い求めた。極
上品だったので、当時の筑摩書房の出版案内（１２
頁）の小冊子や、読者アンケートのハガキ、注文伝
票（一枚）までついている。もちろん、状態は私が
二度ほど読んだだけの未使用に近い「美本」である。

【状態と発送について】
  本の状態はコレクタームケの「美本」である。発
送は分厚い本なので、宅急便コンパクトを予定し、
送料は当方がサービス負担いたします。